2021年 03月 12日
ペグ 友の会 |
「ものすごくカッコいい!」とか
「デザインがすごくかわいい!」と
意気込んで購入し、帰宅し冷静になると
または通販で楽器が送られてくると
「ペグがものすごくカッコ悪い」
または「ガタガタなペグが付いている」
って事がかなりの確率であります。
そして昔からペグがものすごく
大事だと自分自身は考えています。
まずペグがなければ弦は張れず
音も調弦が出来ません。
さらにデリケートな部分と考えていて
個人差ありますが、重くしっかりした
ペグを好む方もいるかとは思いますが、
ギターを倒した時、一発でネックが
折れてしまう可能性もあったりします。
さてわたくしがスティールギターを購入し
即がっかりしたペグをご覧下さい。
※正面からだと全て同じに見えるけどw
(1)例を見てみましょう。
ものすごく安ぽい東南アジア製の
鉄弦ギター用ペグが付いていました。
素人の方が無理矢理付けたっぽく、
ブッシュ的な物もなく刺さっている感じ。
さらに左右のブランドも違うしまつ。
チューニングの不安が付き纏う。
M弟君が所有していた同型スティールは
ペグのガタつきなど全くなかった。
(例2)
パールのボディと合うじゃん!
とか言いながら交換したのでしょうか。
こちらもやはり格安鉄弦ギター用ペグ。
ボタンもへんなカタチっすよね?!
これも裏がテカテカメッキで
しかも成金みたいな彫刻入り。
ゴトーの3連にしてくれれば…。
オリジナルのヴァルコ系は確か
3連クルーソンが使われている事が多い。
(例3)
裏を見せるのは恥ずかしすぎる程に
カッコ悪い物が付いています。
写真だと分かりづらいのですが、
何年使っても金属ピカピカなペグです!
ピカピカは辛い、本当に嫌だ。
そしてプラモみたいなプラスチック。
格安鉄弦用ペグを見て頂きましょうか。
(裏は恥ずかしくて見せれません)
サウンドハウス調べだと約1200円。
例1から3までどの写真も正面からなので
良くも悪くも分かりづらいのですが、
どの格安鉄弦用ペグもだいたいが
スロッテッドヘッド用が付いてます…。
弦を張っていれば少しは安定しますが
弦を交換する時に実感出来るのは
とにかく半端じゃないガタつき。
そして急に進む感じの巻きの甘さ。
さてなぜスティールギターのペグは
こう言った格安鉄弦ギター用ペグに
交換されてしまっている事が多いのか?
わたくしの想像と、以前吉祥寺にあった
伝説の楽器屋、ヒワタリ楽器店の
おやっさんの言葉を思い出しながら
考えてみました。
我々が弾いているスティールギターは
もしかしたら昭和30〜40年代に日本へ
やって来た物が多いかもしれません。
今でこそ我々はインターネットなどで
ギターのリプレメントパーツを簡単に探せ、
直ぐ手に入れる事が出来ますが、
昭和30年代にギターパーツを買う事は
そう簡単な事ではなかったと思います。
よく聞く話しで楽器店に弦の種類は
殆どなく、エレキにアコギ用の弦を張って
我慢していたなんて事もあったとか。
あれは確か1997年ぐらいの事。
吉祥寺のヒワタリ楽器店のおやっさんが
お菓子が入っていた缶を何個も持ってきて
好きなの差し上げますからなんて言って
見せてくれたのが、既に貴重だった
ヴィンテージギターパーツの山でした。
おそらくお客さんが交換した物や
当時仕入れてそのままのパーツたち。
すごく大事にしている感じがしたので
おやっさんに1960年代って修理の
パーツとかはどうやって手に入れて
いたんですか?と聞いた事があります。
おやっさんは横田基地に勤める米兵の
友人に頼み、基地内でカタログ注文。
ギターもパーツも買っていたそうです。
「ギターは違う物が来た事はなかったけど
パーツはもう似た物が来ればまだ良い方で
全然違う物が届く事も多かった」や
「ある物を使うしかなかったですね」と
お話していたのがものすごく印象的でした。
うちの親父も60年代はフリーで横田に
入れるパスを持っていた人なので、
とても話しが似ていて面白かったです。
余談ですが、おやっさんから聞いた話しで
「カタログにはP90のピックアップが付いた
ギブソンのES175を注文したけれど、
届いギターはハムバッカー(PAF)で
注文をくれたお客様にお詫びをしたけど
そんな事を気にするどころか、
本物を見た事がない人が殆どだから、
気にする人はいなかったですね」と言う
お話しが俺はすごく好きです。
ギター好きにはピンとくると思いますが
P90からPAFへの変更時期っすよ?!
まだ1950年代の話しですもんね〜
話しを戻します。
おやっさんがお菓子の缶に大事そうに
しまっていたのは、とにかくペグが
多かった印象で、圧倒的にクルーソンと
ジミーペイジドンズバのグローバーペグが
ゴロゴロあり、差し上げますよって
言ってくれるのですが、左右バラバラ
色バラバラと言う感じでした。
揃っている物はなかった記憶です。
当時のお客さんは全取り替えではなく、
壊れた所だけ取り替えたのでしょうか。
ちなみにおやっさんと仲良くなったのは
以前もここに書いた事がありますが、
ヒワタリ楽器店にしかないギブソンの
ピックがあって(たぶん70年代の物)
それがすごく弾きやすく、しかも確か
50円だかでかなり通って買いました。
ある時、「古いギブソンのセミアコ用
ケースなんてないですか?」って
きいたのが始まりで、おやっさんが
「あれ?倉庫にあったかも?」
「探しとくから明日来れます?」と
言うので「明日また来ます!」と
なったのがきっかけでした。
翌日伺い、外から店の中を覗くと
おやっさんがニコニコと手招きし、
早く早くと言わんばかりの笑顔。
入ると「ありましたよ!汚いけど!」と
まさに俺が探していた60年後半の
ギブソンのセミアコケースでした。
恐る恐る「おいくらですか?」と聞くと
「ん〜汚いからな〜じゃあ500円下さい」
と笑顔で言われたのには驚いた。
さすがにこれじゃ逆サギみたいなので
店にあるよくわからない物をかなり買い
お気に入りのピックも大人買い。
あと当時少し話題になっていた
「ギターグラフィック」って本を
プレゼントしました。
話しが脱線してしまいました。
ヒワタリ楽器の話ではなくペグでした。
昭和30〜50年代にペグが壊れ、
スティールギターのペグを探しても
(アメリカ製のギター用ペグ)
そんな物はないので、とりあえず店にある
テスコやグヤトーン、ヤマハなどの
鉄弦用糸巻きに交換すると言う
選択肢1本だったのではないでしょうか。
あと現在の話し、スティールギターを弾く
オールドプレーヤーが通う楽器店には
ほぼリペアマンなどはおりません。
これまたオールド店員の方がアリアや
オールパーツ製やアジア製のペグに
ただただ交換しちゃうパターン説。
思い当たる店が2軒あります(笑)
こっちの説の方が可能性大ですたぶん。
さて本題です(長)
手に入れてから約2年経った
マスタートーンのピカピカなペグが
どうにかならないものか?
と悩んでおりました。
ただ腐っても戦前ギブソンなので
オープンバックペグ、そしてボタン黒の
組み合わせの為、パーツを見た事がなく、
そこで山崎さんの顔が頭に浮かんだ。
ブリッジがすっ飛んだ大正生まれの
ヒロハワイアンギター1号(写真)を
預けた時、山崎さんのギター愛で
「似たペグあったから交換しといた!」
って言葉を急に思い出したんです。
これオリジナルと瓜二つ的な新品ペグ。
愛ですよね、愛。
と言う事は1920年代〜1940年代に
使われていたオープンバックの
リプレメントパーツもあるはずと思い
探してみる事にしました。
戦前オープンバックタイプで
レギュラーヘッド用のボタンが
白やクリーム色の物はかなり種類が
出ている事が分かったのですが、
黒ボタンでしかもレギュラーヘッド用は
ひとつしか見つけられませんでした。
格安ペグと見分けがつかないけど(笑)
ピカピカ光ってないだけでも落ち着く。
日本で売っている店も一軒しか
見つける事が出来なかったので、
最近ebayに出品しているギター屋から
買おうと思ったら日本の方が安い(笑)
なのでChiyoda-ku Tokyoで購入。
本音を言うと格安ペグの傷痕が見える為
スクエアエンドではなく、
ベルエンドが欲しかったけど諦めた。
これGolden Ageって言う
アメリカのブランドらしいのですが、
自分は全く知りませんでした。
買う時、ディスプレイ用ではなく裏から
パッケージ付きを店員さん出してくれ
袋を見た瞬間"StewMac"製と分かり
なんだよ、直接買えば良かったなと
思いましたが、既に後の祭り的…。
日本にはそれ程入っていないようですが
ありそうでなかったシリーズは
かなり種類豊富のようです。
戦前のL-0.L-00.J-45.J-35.L-30.L-7など
細かくディテールの違いが分かれていて
古いギブソンやマーチンを持っている人も
かなり使えそうなラインナップです。
↓リンクを貼っておきます。
まずはピカピカしてなくて落ち着く。
そしてカラマズーに合う黒ボタン。
スティールギターはチューニングを
ちょこちょこ変えたりするので、
ペグはやっぱり大事。
ガタつき、グラつきがなくなり、
まずは一安心で一件落着。
わずか数千円のパーツで気分があがり、
取り憑かれたように毎晩練習しています。
by steelfriend
| 2021-03-12 23:30
| 楽器
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